オペロンのビール日記

毎日おいしいビールを飲んで生きていきたいです。

[書評]ぼくらの新・国富論 スタートアップ・アカデミー

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本屋で見つけたのでとりあえず購入し読んでみました。
ディスカバー21から出版されるWIRED BOOKSの第一弾のようです。そういえば、先週読んだふんどし協会の本もディスカバー21でした。家入一真さんや安東美冬さんなんかが書いてるU25 Survival Manual Seriesもディスカバー21ですし、なんだかんだ結構読んでます。 

ぼくらの新・国富論 スタートアップ・アカデミー (WIRED BOOKS)

ぼくらの新・国富論 スタートアップ・アカデミー (WIRED BOOKS)

 

【WIRED BOOKS ワイアード・ブックス】
「WIRED」がもつ世界的なネットワークを生かし、「WIRED」と親和性のある、これからの世界を変えていくアイデアをもつヴィジョナリーたちとコラボレーション。彼らがもつビジネスやテクノロジー、サイエンスなどさまざまなジャンルについての世界で最も進んだ知見のアウトプットを、「WIRED」編集部との協働で執筆&編集、リリースしていく書籍シリーズ。

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早速読んでみました。「リーン・スタートアップ」や「Running Lean ―実践リーンスタートアップ」のような方法論が書かれた本ではなくて、榊原健太郎氏(サムライインキュベート)の「20代の企業論」や孫泰三氏(modiva)の「ぼくたちがスタートアップした理由」に近い、スタートアップ業界のガイドブックみたいな感じでした。Wiredのこの特集を一冊の本にまとめたような感じです。扱われているスタートアップ(VCも含んでますが)はスポットライト/TokyoOtakuMode/ANRI/コーチ・ユナイテッド/AnyPerk/ビットセラー/ナナピ/オーマイグラス/フリークアウト/ラクスル/コイニーと、ちょっとネットのニュースを見ていれば聞いたことのある会社ばかりです。なので、逆に言うと目新しさはないです。Yコンビネーターや500Startupsについても触れられていますが、そういうのを読みたければ「Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール」をおすすめします。

大企業とヴェンチャー企業とのコラボレーション

個人的に興味深かったのは「大企業とヴェンチャー企業とのコラボレーションの手法」で扱われていた「Nike+」のサービス例でした。Nike+の事例を説明する前に3種類のコラボレーション手法をまとめてみます。

[1]CVC(コーポレートベンチャキャピタル)による直接投資

まず1つ目は、投資専門会社ではない事業会社が内部に専門組織を設け、自社事業に何らか貢献するであろうベンチャーに対し投資するという動きです。この本では「サムスンヴェンチャーズ」が挙げられていましたが、日本だとサイバーエージェントベンチャーズグリーベンチャーズ伊藤忠テクノロジーベンチャーズなんかがありますね。

[2]シードアクセラレーターを通した投資

次に2つ目は、世界中からプロジェクトを募集し、狭い関門をくぐり抜けたいくつかのベンチャーの種を厳選し、3ヶ月程度のインキュベーション期間にさまざまなサポートをしてスタートアップに導くという、いわば投資と育成双方の側面を併せもった投資機関です。この本では「Yコンビネーター」や「500Startups」が挙げられていましたが、日本に当てはめるとOpen Network Lab(スポンサーはdocomo/KAKAKU.com) やKDDI∞Labo(スポンサーはKDDI)あたりが有名ですね。

参考記事:

起業したてのシードスタートアップに投資する日本のVC(シードアクセラレーター/インキュベーター)さんをまとめました | TURN YOUR IDEAS INTO REALITY.

[3]独自のプログラムを通した投資 

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で、最後に3番目が、Nike+の例を挙げて説明されていた「独自のプログラムを通じた投資」です。1年くらい前に誰かのつぶやきでこのリリースを知りましたが、書籍で取り上げられているのは初めて見た気がします、

ナイキではこれらのサーヴィスを加速するために、自社のリソースだけでは限界があると判断し、広く外部のイノヴェイションを取り込むことを決断します。その手法として選んだのが、自ら資金を投じアクセラレータープログラムを設けるというかたちでした。しかしナイキ自身にはそのノウハウがありません。そこで同社はシードアクセラレーターのTechstarsと提携しプログラム運営を委託します。

13年6月に行われたデモ・デイで発表した10組のグループの中から、実際のNike+のサービスに採用されるものもあるようです。こういった大企業主導の取り組みは増えていくんだと思います。面白いです。

最後に、この本分厚くて重いです。
WIRED BOOKSなのであればkindleで読みたいもんです。